令和5年度の政府予算案においては、出産育児一時金が50万円に増額されるなど、出産や子育て支援に重点がおかれた内容となっています。出産育児一時金は、出産前後の家計の負担を軽減するため、平成6年10月に創設されました。当初の支給額は30万円でしたが、その後段階的に引き上げられ、現在は子ども一人に付き42万円が給付されています。今回の改正案は一気に8万円も増額される大幅な見直しと言えますが、この背景には出産費用の増加が影響しているようです。厚生労働省によると令和3年度の出産にかかった費用は、民間クリニックなども含めた全国平均で47万3000円余りと、過去10年間で5万円以上増加しており、「現在の一時金ではまかなえない」という課題が生じていました。深刻な少子高齢化が懸念される日本においては、安心して出産と向き合えるための仕組みづくりが急務ということでしょう。
一方、財源の出どころも気になるところです。出産育児一時金の財源のほとんどは平成20年4月から、原則74歳以下の現役世代が加入する医療保険の保険料で賄われていますが、今回の引上げに伴う財源の確保については、75歳以上の人が加入する後期高齢者医療制度からの捻出も予定されています。昨今、医療や介護の分野においては、一定以上の所得があるシニア世代の負担増が目立ちますが、この傾向は当分続きそうです。
子育て支援策については、出産育児一時金以外にも、妊娠届と出生届を出すことで計10万円が給付される出産・子育て応援交付金なども予定されています。今後の公表に注目しましょう。