先週6月15日は、4~5月分の年金の支給日で、今年度分として初めての支給でした。「物価は17ヵ月連続で上がっているとニュースで聞いたけれど、年金額は増えていなかった」などという声も聞かれたようですが、年金額が決まる仕組みをご存知でしょうか。
年金額は毎年4月に改定が行われますが、①「改定ルール(物価と現役世代の賃金の動き)」と②「マクロ経済スライド」の2つの基準で見直されます。
①の改定ルールは、物価と現役世代の賃金の動きの両方を勘案した複雑な仕組みとなっています。基本的にはたとえば物価が1%上がれば年金額も1%増えるので、年金月額が10万円であれば、10万1,000円になりますし、逆に物価が1%下がれば9万9,000円に減ります。
②のマクロ経済スライドは、少子高齢化を考慮した制度です。年金の支え手である現役世代の人数は減少し、年金を受給する高齢者はますます長生きになって年金をもらい続けることから、年金財政はより厳しくなるため、物価や現役世代の賃金が上がっても、そこまで年金が増えないような仕組みが取り入れられているのです。
前述のように①の改定ルールで物価が1%上がったとしても、②のマクロ経済スライドにより、たとえば0.3%引き下げると決められていると、年金額は0.7%(1%-0.3%)しか増えないこととなります。ただし、物価や賃金が下がった場合には、年金生活者に配慮して、引き下げは行われません。
なお、年金制度自体の見直しも行われており、①の改定ルールは、賃金を重視する方法に変わります。現行ルールは、物価が1%、賃金が2%下がった場合、年金額は物価に合わせて1%だけ下げますが、新ルールでは賃金に合わせて2%減らすことになります(2021年4月施行)。
一方、②マクロ経済スライドについて、物価や賃金が下がった場合、引き下げは行わないルールはそのままですが、引き下げが実施されなかった分は、物価や賃金が上がった時に繰り越して引き下げを行うこととなりました(すでに2018年4月施行)。
このように、物価や賃金が上昇したら、年金額も増えるかというと、引き下げが行われて思ったほど増えないこともありえます。こうした厳しい年金ルールを覚えておかれるとよいでしょう。