先ごろ、令和4年度の年金額が0.4%の引下げとなることが厚生労働省より公表されました。日本の公的年金制度は、基本的に現役世代の保険料が年金受給者の給付へと回る「世代間扶養」の仕組みで運営されています。つまり、現在私たちが負担している年金保険料は、自分たちが老後に受け取る年金になるわけではなく、現在の高齢者が受給する年金となっているのです。1975年には現役世代8.6人で1人の高齢者を支えていましたが、少子高齢化が進んだことで2020年には現役世代2.1人で1人となり、2038年には現役世代1.6人で1人の年金受給者を支える必要があると予想されています。
このように世代間扶養のバランスを保つことが難しくなってきていることから、公的年金制度が何度も見直され、年金額は現役世代の負担能力に応じた給付とする考え方を徹底することにより、物価変動よりも賃金変動をより強く反映させる方向へと変化しています。そのため、直近の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)は前年同月比0.5%の上昇となっていますが、年金額は引き下げられることになったのです。物価が上がっているのに、受け取れる年金額が減ってしまうとなると、シニア世代の暮らしはますます厳しさを増すことになります。老後資金への備えは、時間を味方に付けられる早い段階からの準備が大切です。年金額引下げのニュースを遠い先のこと、として片付けてしまわず、身近に起きている変化がどこにどんな影響を及ぼしているのかを考えつつ、確定拠出年金(DC)やNISAなど税制優遇を受けられる制度をうまく使いこなして備えていきたいものです。