10月20日に財務省が発表した2022年上期(4~9月)の貿易統計速報によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は、過去最大の11兆74億円の赤字でした。貿易赤字が身近な生活にどう影響するのか、円安が進む為替との関係についても確認してみましょう。
世界では、さまざまな国同士が貿易取引を行っていて、各国の政府機関は、自国でどれだけ貿易が行われているかを「貿易収支」として発表しています。貿易収支は輸出額と輸入額の差額のことで、輸出が多い場合は貿易黒字になり、輸入が多い場合には貿易赤字になります。貿易赤字と聞くと「景気が悪くなっている」と誤解されやすいですが、実際には景気動向を示しているわけではなく、輸出よりも輸入のほうが多い状態を表しています。
今回発表された貿易収支では、輸出額、輸入額ともに過去最高額となりましたが、輸入の増加に比べて輸出の伸びが追いつかない状況です。世界的な資源価格や穀物価格の高騰に加え、円安が加速したことも輸入額が大きく増加した要因となっています。
では、輸入額が多い貿易赤字が続くと、私たちの生活にどのような影響があるのでしょうか。輸出よりも輸入のほうが多いと他国への支払いが多くなります。通常、貿易の支払いは基軸通貨のドルベースで行われるため、輸出よりも輸入が多いということは、円をドルに換えて支払いにあてる必要が生じます。つまり、円売り・ドル買いの要因になります。現在の急激な円安は、日米の金利差が主な要因として取り上げられていますが、為替の変動には様々な要因があり、この貿易赤字もその要因の一つとなります。
エネルギーや食糧など家計に大きく影響する分野を輸入に頼る日本では、円安の影響で物価高が続くことが懸念されています。32年ぶりの1ドル150円のいま、今後の為替の動向にも注視していきたいところです。