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「有事の円買い」のはずが「有事の円売り」に。今後の為替相場の動向に注目しよう!

 「世界的な有事により、安全資産の円が買われています」というニュース解説を皆さんも何度か耳にされたことがあるかと思います。深刻な人口構造の変遷期を迎え、国債の発行額が1,200兆円を上回る日本の通貨が「なぜ、安全資産なのだろう?」とニュースを聞きながら疑問に感じた方もいらっしゃることでしょう。

 従来、円が安全資産とされてきた理由として、日本は世界一の対外純資産国である、という点が挙げられます。日本は世界一の債権国であり、対外純資産の値は357兆円(※1)規模とされています。他方、確かに日本国債の発行額は膨大な数字ではありますが、その海外依存度は13%程度(※2)と、海外からの債務の割合はまだ小さいため、戦争や自然災害などの有事においては、安全資産と考えられる円が買われることで、為替相場が円高に推移することが一般的とされてきました。

 しかし今回のウクライナ危機にあって、円は円高どころか円安に推移しているため、為替相場においては比較的大きな地殻変動が起こったと、その動向に注目が集まっています。「有事の円買い」から「有事の円売り」へと変化してきている、というわけです。

 ここには、長い間黒字であった貿易収支が赤字に転落し、その赤字幅が拡大していることや、アメリカをはじめとする世界の主要国金利が上昇へと向かう中、日本はまだ超低金利を継続していることなど、さまざまな要因が影響しています。

 他方で、インフレ面からみると、アメリカに比べるとまだ日本のインフレ率は低い、という現状があります。「どこの国で物を買っても最終的に同じ価格になるはず」という購買力平価の考え方においては、他国に比べるとインフレ率の低い日本の通貨は円高に振れやすい、という要因も持ち併せています。今後、どちらの要因の力が大きく働くか、という点においては目を向けておきたいところです。

 食料やエネルギーなど海外からの輸入依存が高い日本において、円安は物価の上昇を招き、最終的には家計負担の増加につながっていきます。今後もこれらの動向には注目しておきたいものです。

※1:財務省「令和2年末現在本邦対外資産負債残高の概要」より
※2:日本銀行「資金循環統計」より株式会社ノースアイランド算出

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